久しぶりにダウン。アレじゃなければ良いが。。
なぜデジタル政府は失敗し続けるのか
ざっと読んだ。数十億円というオーダーで金をかけてシステム開発断念した特許庁や京都市の例など悲惨という印象を強く持った。ほとんどの問題で通底するのは、発注者が発注能力がないという点。それはそうで、コードを一行も書けない行政官に仕様書を書けなんて到底無理な話。これは典型的なP-A問題でもあろう。 システム導入を赤字で落札して運用で稼ぐというベンダーロックインも入札方式の問題というしかない。
もうひとつはセキュリティの問題。非現実的にガチガチなセキュリティがシステム開発のボトルネックになり無駄に複雑で使い勝手が悪いものになりさがっている。
特許庁システムのように最終的にベンダー側が耳を揃えて受注費を納めるという顛末を辿るようなリスクの高い行政システム調達は正直手を出したくないし、セキュリティガチガチの問題を解決するには中の人である必要があってベンダーではどうしようもない。
そういうわけで、デジタル庁に発注できる、仕様書を書ける人材を集めるのは悪くないと思う。とはいえ、17業務の標準化はたぶん失敗するだろうことは目に見えている。拙速がプロジェクトを殺してきたのに同じ徹を踏んでいるからだ。
ロールモデル
ある人にロールモデルだと言われた。似たようなことは何回か言われたことがあるが初対面の人に言われたのははじめてで、むず痒い感じがした。
自分のキャリアは自分から見ても面白いのだが、あまり世間からはそう思われていないという自覚があり、もっと面白がってもらってもいいのになと思っていた。とはいえ、世の中にはもっとわかりやすく面白い人がおり、さらに成果を出しているので自分がさほど注目されないというのもよく理解している。
ロールモデルだと言われて思ったことは、「モデル」にしていいほど成功していないというのが本音のところで、この道がいいよとは口が裂けても言えないということだった。もちろん、自分のキャリアについては一貫した計画はあり、それに追随しているので別にモデルと言っても良いとは思うが、究極的に目指したいことが必ずしも普通ではないのであまり参考にして欲しくないという感じ。
大企業かベンチャーかといった二項対立にしたって結局のところ、どちらが正しいかなんてわかりようもないしどちらが正しそうかというところもよくわからない。ただ、考え尽くして納得して決めて欲しいということしかない。
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ざっと一気読み。
いわゆる構造改革派の「冷たい」経済学者に思われがちな鈴木氏だが、読んでみると自身の日米両国に渡る保活の苦労を起点に保育所問題に取り組んでいるなど実はアツい感じだった。
気になった点
- 鈴木氏はとにかく公立の認可保育園をシバいて施設運営の効率化するとともに、保育料をあげて保護者もシバきたいようだが、少子化対策の観点からすると効率化より公立並の給与を私立にも実現した上で、面積も公立にあわせたほうがいいのでは。一方で、私立の行き届いた運営は公立にもやらせるべきだが。第一広々としたアメリカの保育所が良かったと言っておきながら面積基準が広すぎるというのは矛盾しているように思う。
- 子供が進級と同時に抜けていくことによる定員の余り枠の問題はもう少し弾力的な方針で考えるべきでは。ちまちま拡充しているようではどうしようもない
- 育児保険のアイデアはいいと思うが、人は必ずしも子どもを持たないというところで厳しいと思う。このあたりめんどくさい子あり・子なしの争いなどから離れたところで解決できないか
産学連携の話
産学連携というのは一目美しい。公の目的のために、産業界がカネや資源を提供し、知恵のある研究者がそれをつかって研究する。もしくは、研究者の知見を産業界が応用して公に利益に役立てる。 半導体の開発や新しいモビリティの開発、地方創生のための農作物の品種改良、地産地消のエネルギー、さまざまなものがある。産官学連携を推進するインセンティブは、産業界にとってはビジネスの発展、研究者にとっては論文業績である。 ではビジネスの発展に結びつかない研究は産官学ができないのか。 実はそうではなく、産業界が研究者にお付き合いして研究に協力することはよくある。研究者のもとにいる学生たちをリクルートできたり、社会的なイメージアップにつながるからだ。 こうしたとき、産業界側は研究者のモチベーションを意識していることが多いが、逆はあまりない。つまり、研究者が企業の論理を理解するということはあまりなく、自らの研究の意義を理解してついてきているというふうに思っている節がある。 そういうスタイルの産学連携は早晩産業側がインセンティブを感じなくなってやめてしまう。 やめないとすれば、実用はないが趣味的に援助するというパトロン的な振る舞いをしているだけにすぎない。パトロン的なふるまいができるのはワンマン企業や調子の良い企業であって多くはない。 では、産学連携には手を出さない方がいいのか。 産業側として研究者や研究をどう使うかというのは非常に難しい。カネを出す以上テーマも決めるというのが良いのかもしれない。
アルツハイマー征服
久しぶりに一気読みした本。アルツハイマー征服は遠そうだが着実に病理の解明には近づいている。
気づいたこと
実験と解析、そして意思決定の大変さ。この点でもっとも進んでいる医学ですらコードミスや矛盾する実験結果、実験にまつわる倫理的問題に振り回される。
創薬にまつわる構造問題。治験はヒトを使う実験のため非常に高コストになる上、成功確率が低すぎる。創薬インセンティブの構造は脆いように感じた。
エーザイという会社の凄さ。個人的にはエーザイというと羽振りの良さを思い出してしまうが、それが内藤社長や杉本八郎、シャロンロジャースといった人々の執念の成果なのだと思うと感慨深い。
認知症の社会的コストを意識しない限り創薬コストが高すぎて研究は進まなくなるだろう。その点、医療経済学者やマクロ経済学者の出る幕がありそうだ
タクシードライバー
生酒はぐいぐいいける系が多いがこれもご多分に漏れず。 ちょうどいい甘さと酸味とアルコール感。濃いんだけどごくごくいける。