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仕事や研究、コンピューターとの付き合い方

産学連携の話

産学連携というのは一目美しい。公の目的のために、産業界がカネや資源を提供し、知恵のある研究者がそれをつかって研究する。もしくは、研究者の知見を産業界が応用して公に利益に役立てる。 半導体の開発や新しいモビリティの開発、地方創生のための農作物の品種改良、地産地消のエネルギー、さまざまなものがある。産官学連携を推進するインセンティブは、産業界にとってはビジネスの発展、研究者にとっては論文業績である。 ではビジネスの発展に結びつかない研究は産官学ができないのか。 実はそうではなく、産業界が研究者にお付き合いして研究に協力することはよくある。研究者のもとにいる学生たちをリクルートできたり、社会的なイメージアップにつながるからだ。 こうしたとき、産業界側は研究者のモチベーションを意識していることが多いが、逆はあまりない。つまり、研究者が企業の論理を理解するということはあまりなく、自らの研究の意義を理解してついてきているというふうに思っている節がある。 そういうスタイルの産学連携は早晩産業側がインセンティブを感じなくなってやめてしまう。 やめないとすれば、実用はないが趣味的に援助するというパトロン的な振る舞いをしているだけにすぎない。パトロン的なふるまいができるのはワンマン企業や調子の良い企業であって多くはない。 では、産学連携には手を出さない方がいいのか。 産業側として研究者や研究をどう使うかというのは非常に難しい。カネを出す以上テーマも決めるというのが良いのかもしれない。