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仕事や研究、コンピューターとの付き合い方

金曜日の中央線はちょっとしたエンターテインメントだ。乗客は多かれ少なかれ酔っ払っている。そして満員。駅に着くたびに強引に降りようとする客に押されてヒールの女性がホームに叩きつけられる。車内では足を踏んだ踏まないのいざかいが始まる。たまに殴りあいも。
異変は四谷駅で快速に乗った瞬間から感じていた。股の下に大きな黒いショルダーバックが挟まっている。しかも上にあげようとするのでふざけるなと思ってよくみると黒いコートを着た若い女性である。もちろん極度に酔っている。電車に乗っているのが奇跡。とりあえず寄りかかられている。――――と足に生暖かいものが掛かる感触が。もしや、と思い足を見ると、ワインレッドの液体が黒いスーツと革靴を彩っている。女性はなおも体を曲げながら過度に摂取したアルコールを排出中。悲鳴と舌打ち。私は苦笑い。「大丈夫ですか?」という声がするので「どうしようもないでしょ」と返す。とりあえず新宿で降りる。被害者は私と太ったおじさん、劇団ひとりみたいな青年、小太りの女性。おじさんは怒っていてタクシー代か何かをもらおうとしている。劇団ひとりは女性の介抱。小太りはおろおろしている。とりあえず駅員さんがタオルをもってくるので拭いているとおじさんが怒っている。おじさんはJRから何かもらうつもりのようだ。本当に日本人はダメになったと実感。若い女性の体液を浴びるなんてお金を払ってもいいくらいなのに。おじさんのせいで駅員が10名ほど集まった上に電車が止まっている。結局女性がタクシー代を払うことで示談。そこで私は退散。おそらくひとりは帰れない女性を家に泊める気だろう。タクシー代なんかよりよっぽど儲けものだ。勝ち組はいつもひとりだ。