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  • 先週ある格付け会社が、とある小国の国債の格付を二段階引き下げた。これによりこの国の国債はジャンクボンドぎりぎりの扱いとなり、大きな衝撃が走った。
  • この国はここ数年最高7%の高成長を続け、経済的に成功した国とみられていたが、08年からの金融危機により、急速に経済状況が悪化している(成長率は08年1.3%、09年見通しは-7.0%)。
  • 同時に、財政状況も大幅に悪化し、直近まで小幅のプラスを維持していたプライマリーバランスは08年は対GDP比で-13%、09年に-8%となる見込みである。それに伴い公債残高も08年には対GDP比61%だったものが2009年には103%、2010年には120%になると予測されている。
  • まさに危機的な状況であり、ジャンクボンドと化しても仕方がないように見える。
  • 翻ってわが国をみると、バブル崩壊後経済は低迷しており、今回の金融危機により09年の成長率は-5%とみられている。潜在成長率を1%未満とする向きもあり、今後の成長は望めない。プライマリーバランスは、野放図な歳出拡大により96年以降2〜6%の赤字を続けており、公債残高は150%を優に超えている。
  • 格付けで言えば日本国債は前述の小国とは対比的に優良投資先とみられている。日本が世界有数の経済大国であることや、エレクトロニクス、自動車などの分野における競争力を維持していること、あるいは1000兆円を超える家計貯蓄を考えれば、小国との差は説明がつくのかもしれない。
  • しかし、経済規模で言えば、人口減少により最高でも現状維持しか見込めず、産業競争力も劣化していることは否めない。また、高齢化によって貯蓄は今後目減りするであろう。そしてより注意しなければならないのは、日本はその経済規模の大きさから財政破綻に陥ったときに国際機関や周辺国の援助を期待できないことである。

http://f.hatena.ne.jp/delma/20091121121019#foto-body
(参考)
http://www.oecd.org/document/18/0,3343,en_2649_33733_20347538_1_1_1_1,00.html
http://www.bonds.is/assets/daily/islb159.htm