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仕事や研究、コンピューターとの付き合い方

自民党の迷走と言われているが、選挙前からかなりごたごたしていたのは事実。今年の骨太方針の策定過程では社会保障費の増額2200億円の抑制を巡って普段シャンシャンで終わる総務会が紛糾した。論点は、「小泉構造改革路線」の修正だったが、当時の閣僚まで否定する事態は国民に不信感を与えたのだろう。
多くの識者、特に海外メディアの小泉元首相に対する評価は未だに高い。客観的に見てバブル崩壊後最高の首相と言っていいだろう。理念と指導力というリーダーに欠かせない要素が彼にはあった。そのバックボーンは竹中平蔵氏の理論だと言われているが、彼の理屈は標準的な経済学を敷衍したものに過ぎない。それがゆえに「市場原理主義」や「グローバリズム」、「マネーゲーム」などの批判が国内から湧き出ているわけだが、現実的に政策の分析・立案は学術的には経済学なしには成り立たない以上、少しでも冷静に政策を議論しようとするときに標準的な経済学を否定する、あるいは知らないとするとまったく非生産的なものになる。次期政権は内部にこれらを強く否定する勢力を持ちながらの運営となり、相当の迷走も考えられる。ただ政権を担う面々を見ると経済学と相性のいい理系の素養が豊富な人材が多い。政治はパワーゲームだが、少しでもスマートな議論が出てくることを切に期待したい。