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仕事や研究、コンピューターとの付き合い方

目標は立てなければいけないのか

目標については、立てなければならない派と立てることは害であるという派がいる。もちろん前者が圧倒的なマジョリティだが、後者は目標がそれ自体自己目的化すると報酬が目標達成にのみ発生することになってモチベーションが続かないという発想に基づいており理論的である。

つまり、目標達成のために様々な不効用を甘受することで、ストレスが溜まりさらに目標達成がそれに見合う報酬とならなかった場合モチベーションが低下して続かないということだ。

しかし、目標を立てない派にも問題点がある。彼らの議論は、日々の生活がそのまま未来に向かっている人間を念頭においているからだ。つまり、絵描きが毎日衝動のままに絵をかき、プログラマーが興味のままに開発をしていると素晴らしいこと(change the world)になるという感じだ。これは天才の発想である。およそ凡人には適用不可能である。なぜなら凡人の衝動は日々堕落して生きることに向かっているし、凡人の人生の目標は世界を変えることではなくまっとうに生き、あわよくば少しだけ世の中に爪痕を残すことだからだ。

ではどうするか。ストレスなく日々を過ごし、かつモチベーションを高く維持する方法はあるのだろうか。

自分の場合は華々しい目標ではなく地味なかつ達成が簡単な目標を立てることにしている。

華々しい目標、例えば東大理Ⅲ合格とか再生回数100万回とか女優と結婚するといった誰もが認める大きな目標は達成するまでの長い期間耐え忍ぶ時間が長すぎるし、達成できなかった時の心理的ダメージが厳しい(繰り返すが、これらの目標も天才には些事である)。

これは、忍耐力がなく繊細な人間にはおよそ似つかわしくない仕組みだ。持続性も成功確率も低い。しかし、達成可能な目標を毎日設定すればどうだろうか。ある実現可能性がある目標に対して、長期で対応する計画を作る。さらにそれを1年程度の中期計画にして、それを週のタスクにブレークダウンして最終的に2時間程度のタスクに分解する。

そして、目標は単純に日々のタスクを着実にこなすというところにおく。こうすれば日々目標に対する達成度が判定され、我慢の度合いも低い。なぜなら、計画を立てる自分が目標達成の難易度をコントロールできるからだ。