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仕事や研究、コンピューターとの付き合い方

如何に情報を回すか

組織で仕事していく上で情報をどう回すかというのはとても重要だ。前の職場では、情報の流通は各担当ごとに窓口が存在して、窓口からチームの必要な人間に一通一通ち密に宛先をわけたメールが飛んでいた。これをするためには24時間体制で適切に情報を受け渡す優秀で忍耐強い担当の人間が必要でコストがとても高いが、必要な人間に必要なだけの情報を伝達されるため、組織の動きは統制的になる。 今の職場では、そうした窓口担当なるものは存在せず、代わりに、スケジュールからチーム内のチャット、議事録など各自がどこかしらに情報を可視化しておくことで、透明性を最大化し、情報共有のコストをかけずに透明性が高い組織ができている。これは、組織の機動性を上げる一方、情報感度の低い者は情報を入手せず仕事が遅れ、逆に情報に貪欲なものはどんどん内情に詳しくなるという状態になる。 情報統制モデルでは、一部の情報独占者しか意思決定が行えず、それ以外のものは下働きになる。若いうちから活躍したいと思う人間にとっては息苦しい環境ともいえる。また、情報独占者が必ずしもアジェンダの一番の専門家ではないため、特に日進月歩の技術についていけず外から見れば非合理な決定を行ってしまう可能性がある。他方で、透明性最大化モデルでは、意思決定はあらゆるレベルで行われ、機動性が高まる一方、よほどどん欲に情報を収集しないと組織内で何が行われているのかだれも把握できない状態になる。 情報統制モデルでは情報の共有は出し手に責任があり、情報独占者の「俺は聞いていない!」が最も恐れられる。また、誰もが仕事に必要な最低限の情報を配給されるため、情報感度の低い者が疎外感を感じることにはならない。いわば共産主義的な世界となる。他方、透明性最大化モデルでは、「俺は聞いていない!」は無能の宣言であり、「あそこに書いてあっただろ!」が一番言われたくない言葉になる。情報感度の低い者は仕事に必要な情報が与えられず戸惑うことになる。 いずれのモデルも一長一短だが、情報統制モデルは相当コストが高いことに注意する必要がある。一日中メールをまくだけの仕事を行う人間を飼っておけるだけの余裕がある組織以外は採用しづらいであろう。