「官邸主導」というのはよく言われていて、「首相支配(竹中治堅著 中公新書)」
などその意義を解説するものは多い。
ただ、具体的な官邸内の組織構造について語るのはこれが初出ではないか。
特に印象深かったのは、小泉内閣が創設した「連絡室参事官」(総理秘書官を出さない官庁出身の官邸スタッフ)が情報収集面、実働面で重要であること。
総理総裁の居城である官邸は形式上の政策決定の核であっても、複雑な行政組織を意のままに
操るには貧弱な体制である(内閣官房、内閣府を使うのは鈍重すぎるし、情報漏えいの危険もある)。
その中では、各省の働き盛りを官邸に常駐させることで
総理指示を的確に迅速に各省に伝えることができる。
(それでも、各省が首相の意に沿わない行動を取ることも多かったようだ。)
また、飯島秘書官の外務省への不信感が随所に出ていたことが興味深い。
まさに生きた政治学の教科書である。