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仕事や研究、コンピューターとの付き合い方

人手不足か、意識の問題か

労働時間調査におけるミスで野党から批判を受けた厚労省が、毎勤の調査でミスを起こしたようだ。全数調査の予定の大規模事業所について、標本調査をしたということだ。 ランダムサンプリングであれば、別に問題なさそうだが事前に説明したプロトコルに沿っていないことについては批判は免れない。 事情をどれくらい知っているか、あるいは立場によって論調は変わるだろう。 特に我が国の統計や霞が関事情に詳しくない人であれば、怠慢からくる単純なミスと映るだろう。 少し労働負荷が高い霞が関事情を知っている人であれば、人員不足という論点が思い浮かぶだろう。 さらに、我が国の統計事情に関心がある人であれば、統計人材の不足に帰着させることになるだろう。 もっといえば、実際に調査を担当した都においても統計に対するリソース配分や上層部の意識が低いということがいえるだろう。 こういった状況をどうすればいいか。まずリソースを拡大することが不可能であることは論を俟たない。これだけ財政事情が悪い中で、例えば同じく人手不足である労働基準監督署と労働統計のどちらを重視すべきかといえば答えは明白だろう。厚生労働行政では、医療、保育、介護、福祉、全面に渡って人手不足である。 これほど広大で重要な行政範囲のうち、直接的に人の生死にかかわりのない統計に意識が及ばないのはいわば当たり前である。 基本的には統計については、JILPTや総務省統計局なりに移管して統計人材の手に渡してしまうのが一番であろう。もちろん、行政と統計は不可分だが、統計は必要なときにリファレンスされる環境があれば、その作成まで関わる必要はない。事実、民間のエコミストは統計を作成しているわけではないが、統計を用いた仕事をしている。 作成まで関わることのメリットは、例えば翌朝の国会答弁の作成に必要な集計をすぐできるとか、審議会の資料を夜なべしてつくれるとかだが、これらは十分準備時間をとる、もしくは詳細は後日説明すると行った対応をとるほかないだろう。 結局、統計の不備によって国会対応などの業務が増えているわけだから外部委託することのメリットは大きいだろう。 この件について統計委員会がどのような対応をするのかみていきたい。